この小説を書くにあたって、一番辛かったことは母の死の場面でした。



死に対する疑問。



生きていく疑問。



いまだに疑問を持ったままで生きています。





母を亡くしてから私は空っぽな気持ちでした。



いつも優しく微笑む母。



どんな辛いことにも、立ち向かう母。



そんな母にも一度だけ二人で死のうと言われたことがありました。



借金に追われ、毎日が苦しかった時でした。



この小説には出てきませんが、私には兄が二人います。



その頃、母は父と離婚できずに、別居生活のままで、中学生の私一人と、高校生の兄二人を育てるのは困難でした。



母が病気がちになって、かなりの貧困が続きました。


次の日にご飯が食べれない日もありました。



絶対何があっても、死んじゃいけないって言ってた母が、そんなことを言うんだから相当苦しかったんでしょうね。



でも私は言いました。



「私は死にたくない。自分が死んだらいけん言うたんやん!死にたかったら一人で死に!」



冷たかったかもしれないけど腹立たしかった。



母には生きてほしかったから...



私は今でも忘れません。



母は泣いて「ありがとね。」と一言、私に言ってくれました。