「那抖ぅ〜!
 パパ〜早く起きて〜!」




――バフッ!




いつまでたっても起きて来ない那抖に、布団の上から飛び乗った。




「グヘ〜ッ!!」




「早く起きろっ!」




「もう少しぃ〜ん!」

那抖はあたしの言葉も聞かず布団に丸まった。




「ははぁーん。そっか・・・」



あたしは那抖の足の方から布団をはぐり、4の字固めを那抖にかけた。




「いてっ!いてぇ!マジで降参!」




「早く起きなさい!」




「わかったよぉ!」
目を擦りながらやっと那抖が起き上がった。




「おまえ
 どこであんな技覚えた?」




「ん?内緒〜♪」




「ヤベッ!遅刻する!」




「ほら、言わんこっちゃない。」




「じゃー行って来る!」




「那抖!忘れ物!お弁当!」




「おっサンキュー♪
 ほんじゃ、行ってきま〜す♪」




走って玄関を出たかと思うとまた戻って来た。




「あ〜!も一つ忘れ物!」



「ん?」




「こ〜れっ!」

あたしの唇にチュッとKissした。




「じゃ、行ってきま〜す!」




「ふふふ・・・
 いってらっしゃ〜い♪」




にやけながら玄関から中に入ろうとすると、那抖のパパが立っていた。




「あ。」




「さっちゃん。」




「はい。」




「俺、大遅刻・・・」




「はい。さ〜せん・・・」




今日もまた陽が昇る。



これから家族も増えて大変だ。



あたしは一人じゃないんだ。