「那抖っっっ!」


現場の砂の山に立って、仕事している那抖を見つけた。



「紗茅!どしたぁ?
 あっ、またあいつらか!」



「那抖、大好きっ!」



あたしは、砂の山を駆け登り、おもいっきり那抖に抱き着いた。



「おいっおいっ!どーした?」



「那抖が好きなの!
 ずっと一緒にいたいの!    ねぇ・・・那抖は?」



「バーカ!」



「えっ?」



あたしが離れようとした瞬間、ギュッと強い力で抱きしめられた。



「嫌いな訳ないだろ?」



「やだ!ちゃんと言って?」



クルッと振り返り、那抖は大きな声で空に向かって叫んだ。



「紗茅が大好きだぁ―――!
紗茅と結婚しま―――――す!」



「えーっ?ちょっとーあたしが
 言おうとしてたのにぃ!」



「紗茅の母ちゃんに届いたかな。
        俺の気持ち。」



那抖は、晴れ渡る青い空を見て言った。



「もう。あたしに言わないで
  どーすんのよぉ!」



膨れっ面のあたしに

「ごめんなっ。」
って言って優しくほっぺにKissをした。



「ヒューヒュー!
   那抖やってくれんなぁ!」



「やっべ!見られた!」



「でかした!那抖でかしたぞ!」

棟梁が両手を挙げて喜んだ。



「俺一生虐められるよぉ!」



「大丈夫。あたしがそれ以上に
 虐めてあげるから・・・」



「ん。」



今度は、那抖が小さな声であたしの耳元に囁いた。



「紗茅大好き。結婚しよっ♪」



あたしは那抖に抱き着き、小さく頷いた。



「あれ?」



「那抖の身長
  こんな小さかったっけ?」



足元を見ると那抖の両足がほとんど砂山に埋もれてた。



「やぁ―だぁ―!こんなオチ!」



「これで、ちょうどいいって。」



那抖はあたしにそっとKissをした。