「那抖、ごめんね。
 仕事中なのに・・・・・・」



「バーカ!
 俺のせいでこうなったんだろ?
 俺ってモテるからなぁ」



「その発言。
 マジむかつくんですけど・・・」



「ジョーダン、ジョーダン♪」

そう言いながら、那抖はバイクの前で足を止めた。



「これ・・・・・・」



「あぁ、やっとまともに乗れるよ
 うになった。
    いまさっきな」


「いまさっき?」



「何度も練習したけど、やっぱ途
 中きつかった。
 仕事場までとか短い距離ならな
 んとか・・・

 で、おまえが電話かけてきて、
 仕事場から無我夢中でここまで
 走って来た」



「ほんと?だいじょぶなの?」



「あぁ、今メットないから乗れな
 いけどな。
 改めて乗せてやるよ」



「よかった・・・・・・」



ほんとによかった・・・



「バイトまで一人で大丈夫か?」



「ンン〜ッ、たぶん・・・」


少しだけまだ怖かった。



初めて本気で闘う男の喧嘩を見て体が震えた。



「じゃあ、バスに乗れ。後ろから
 追ってってやるから」



「うん!」

あたしは急いでバスに乗った。