「忘れろってのが無理じゃね?」


「やっぱりそうなのかなぁ・・・」




あたしは悩みに悩んだあげく、いつもの喫茶店に雅人を呼び出し相談した。




「反対の立場になってみろよ。
 まぁ、もし俺が紗茅をバイクの
 後ろに乗せてて紗茅を殺したら
 ・・・あっごめっ・・・
 事故ったら、もうバイクは乗れ
 ねぇし女は作れねぇよ。
 でも紗茅のことが好きでおまえ
 のことを捨て身で救ってくれた
 んだろ?
 そしたら待っててやれよ。
     傷が癒えるまで・・・」


「なんかさぁ、だんだんぜいたく
 になってくんだよねぇ・・・
 那抖の過去も未来も全部、欲し
 くなるの。
 それって欲張りなのかな・・・」


「あーそーだよ!」

雅人の答えにびっくりした。



「俺が、おまえと付き合ってた何
 ヶ月だって消えやしねぇよ。
 新しい彼女ができても・・・
 おまえだってそうだろ?
 ・・・俺のこと・・・消すか・・・?」


「ううん・・・消さない。
    消したくない!」

雅人の言葉に泣きそうになった。



「だったら、那抖さんも一緒だ」


「そっかぁ。うん・・・
 やっぱ雅人に相談して
      よかったよ」

「まさか紗茅に恋バナ相談
 されるとは思ってなかったよ」


「ごめんね・・・
 こんな話しできるの
 雅人しかいなくて・・・・・・」


「いいさ。俺は困った時の
  『スーパーマン』
     だからな!」


「雅人って大人だよねぇ・・・
     包容力もあるし」


「ハハハ、そんな褒めても
 なぁ〜んにも、出ねーぞぉ?」


「本心だってばぁ!」




そう。過去は消せない。




那抖の苦しみはどうしたらなくなるんだろう・・・・・・




今から、那抖が前向いて歩くにはどうしたらいいんだろう・・・・・・