「そっか・・・・・・」


「あたしママがいなくなるなんて想像できない」


溢れそうな涙を我慢して、夜空を見上げた。


「母ちゃんの前では笑っててやれよ。きつくても笑っててやれ」


「うん、わかってる。ママに一日中着いててあげたいけど、バイトもしなくちゃいけないし、それもできない。
もうママには時間ないのに」


「おまえのせいじゃねーよ。ママさんもおまえの気持ちはわかってるはずだよ。
うちの父ちゃんは酒やめろっつってもやめねー!
バカだよ!死んでもしらね。
でも、でもやっぱ死んでほしくねーしな・・・」



あたし達は、自分達の無力さを知った。



「なぁ・・・おまえ一人じゃないからな?」


「え・・・・・・?」


「コンビニで会ったのも、あそこで偶然ぶつかったのも何かの縁だ!
俺が面倒みてやる!」



「え〜!どういう展開!?赤の他人だよ?
変なジョーダンよしてよ」

「ジョーダンじゃねーよ。他人だろーが、なんだろーが、おまえが嫌じゃなきゃ・・・」


「やめて。もうここでいい・・・」


「え?」


「じゃーね・・・・・・」


「おいっ!おいってば!」





ごめん。

ほんとはね。

嘘でも嬉しかったんだ・・・・・・



でも、今誰かに寄りかかると、ダメになっちゃう。



心が折れちゃいそうなんだよ。






ごめんね。

ごめんね。アニキ・・・・・・








まぁるい月夜の晩


泣きながら夜道を歩いた。