「右手が動かないなんて知ったら
 またおまえは自分のせいだって
 思うだろ?だから・・・」




「それだけ?」




「あぁ・・・」




「バカ!なんでそんなとこまで
 気を回すのよ!」




「俺、早く紗茅に会いたくて
 リハビリがんばって。
 治ったから会いに行ったら
 おまえは・・・

 自業自得だと思ったよ。

 おまえが高校生の中にいて、
 楽しそうに笑ってんの見て、
 なんか声かけれなかった」




「那抖のバカ!あたしが
 どんなに会いたかったか!」




「ほんとか?」




「当たり前でしょ!
 だから別れたんだから!
 那抖に会いたくて、
      会いたくて・・・」




「ごめん、紗茅。ごめんって」




「手は?右手は治ったの?」




「あぁ。バッチリ」

那抖が右手であたしを引っ張り抱き寄せた。




「早くこうしたかった」



「那抖・・・」




空の月が雲の切れ目に見えた。




月明かりが、優しく二人を照らしていた。