あたしはベッドに座り、携帯を開き握ったまま一時間が経っていた。




いまさら那抖になんて聞けばいいのよ。




あたしの言葉を聞いていたかのように、突然携帯の着信音が鳴った。




――那抖だ。




あたしは押そうとした親指を一旦戻し、深呼吸して心を落ち着かせた。




どんな話しであろうと。

覚悟しなくちゃ・・・・・・



「もしもし?」


《あ、もしもし、オレ、那抖》


「うん・・・・・・」




少し沈黙が流れた。




「どうしたの?」


《おまえ、まだあいつと付き合ってんのか?ほら、この間擦れ違った時の・・・・・・》



やっぱり気付いてたんだ。



「いや・・・」


《別れたのか?》


「うん・・・・・・」


《そっか・・・
 少し、話しがあるんだけどな》


「あたしも・・・
 会って聞きたいことがある」


《今から出て来れるか?》

「うん」


《じゃあ、近くの公園な》

「うん、わかった」




それからブランコに乗って那抖が来るのを待った。




――キーコ、キーコ・・・・・・



那抖の話しってなんだろう。




新しい彼女できましたぁとか?



はははー。

あたし、相変わらずのネガティブさだ。




なるべく期待はしない方がいい。




人の気持ちなんて変わりやすいものだ。




昔からあたしはよく知ってる。