「ねぇ、何人兄弟?」


「俺、一人っ子」


「あっ、あたしも一人っ子!」


「そっか!俺のこと兄貴と思いなさい!」


「一人っ子ってさぁ、妄想癖なぁ〜い?」


「あっ!おまえ今、軽〜くトゥルーしたろ!・・・妄想ねぇ・・・あっエローい妄想ならよくぅ♪」


「もう、一人で帰る!」

わざと歩く速度を速めた。

「うそっ!うそだってばぁ〜ん!」


「あんたみたいな兄貴いなくてよかったぁ!」


「ガーン!こんな優しい兄貴いないてぇ〜♪送って帰ってやってるじゃん♪」


「頼んでませ〜ん!一人で帰れま〜すぅっ!」


「ダメだっ!もし、こんな時間に女子高生が一人で歩いてたら俺は・・・」


「・・・俺は襲うぞ!」


――バコッ!!

『英和辞典』が入ってたカバンで頭をこずいた。


「んっもーっ!サイテー!」


「イッテェー!なんか、とてつも!とてつもなく固い物体が!」


「ばーか!!」


「ね?ね?ここへこんでね?」


「どこどこどこ?」

確かめるふりをしてカバンの角で頭をコンコンとした。


「あー!脳みそ空っぽの音!」


「いって、おまっ!」


「あはははぁ♪脳みそ空っぽ、エロアニキぃ〜!」


「兄貴っつった?今兄貴っつった?」


「エロがつくけどね?」


「やっほーい!おまえと俺と〜は〜♪」


「なんだぁ?その歌。つか、肩を組むな、肩を」


「いいじゃんよ!知らね〜っ!よく父ちゃんが歌う♪」


「アニキのパパは何の病気?」


「那抖って呼んでいいって!酒の飲み過ぎだな。紗茅の母ちゃんは?」



「あたしのママ。
いつまでもつかわかんない・・・」