「ねぇ、
 いっぱい女連れ込んでたの?」




「いや・・・」

雅人が顔を背けた。




「だって、いまさっきさぁ・・・」




「まぁ、確かに出入りは
   激しかったけどな」




「ふーん・・・」

あたしは口を尖らせてふて腐れた顔をした。




「でもオマエは違うからな?」




「何がぁ?」




「マジだ」




「証拠は?」




「何もできなかっただろ?」


いや、危うかったし・・・




「他の人にはしたんだぁ」




「あぁ、まーな」




「ふ――――――――んっ!」

あたしは、いまさっきより大袈裟に言ってみせた。




「男は、マジな女にはなかなか
  手を出せないもんだって」




「そうなの?
 でも、泊まってけって・・・」




「あぁ、あれは・・・
 離れたくなかった」

雅人の両耳が赤くなった。



「もうっ雅人ってば・・・ 
 か〜わ〜い〜い〜っ♪」



「くっそぉ〜!
 おちょくりやがって!」
そう言いながら、雅人は近くの電柱に蹴りを入れた。


「いってぇ!」




「あはは♪」




雅人とは、ゆっくりがいいなと思った。




この人とは、ゆっくりと愛を暖めていこう。




「雅人〜♪」



「ん?」



「手〜♪」



「恥ずかしいって!」



「だーめっ!」




二人帰り道、バス停まで手を繋ぎ歩いた。



夕暮れの太陽が、オレンジ色をしてまばゆかった。