「じゃあなぁ!バーイ!」

雅人が仲間を見送り手を振った。




「あ・・・」


あたしは、みんなのバスが行ってしまってから遅れて手を振った。




「おい、紗茅どうした?
 いまさっきから変だぞ?」




「雅人・・・ぎゅっとして・・・」




「あー?」




「いいから、ぎゅうっとして。」

雅人に抱き着いた。




「うん。ぎゅうーっ!
 って・・・これでいいか?」




「うん・・・」




泣きそうな顔を見られたくないあたしは、雅人にしがみついていた。




「おーい、泣いてんのか・・・?
 今からオレん家来るか?
 今日は父ちゃん帰ってこねぇし
      誰もいねぇし・・・」

雅人があたしの顔を覗き込んだ。




オレん家?・・・誰もいない?




それって、まさか・・・




「バッカだな!
 そんな心配そうな顔
 すんなっつーの!」




「ほんとに?」




「ん?ははっ♪わかんねーよ!」



雅人は笑いながら、あたしの肩を抱いて歩き始めた。