あたしはお風呂を済ませ、2階の部屋へ戻り、カーテンをサッと閉めた。



「いたっ!」



那抖からもらったサボテンの刺が指に刺さった。




那抖は元気になったんだろうか。




気にならない訳がなかった。




でも考えないよう、頭の隅に追いやっていた。




「顔も見たくないかぁ・・・」



それを言われちゃあね。




たぶん、名雪みたいなかわいらしいお嬢様が好きだったんだろうなぁ。




「どーせあたしは・・・」



鏡を覗いた。




なんだったんだろう。



あんなに優しかったのに。


あたしがあんなことしなければ・・・



何度後悔しても、足りないぐらいだった。




考えるのはよそう・・・



いまさら何かが変わる訳でもない。



那抖が幸せならそれでいい。



名雪が幸せなら・・・




「いつか仲直りしなきゃーね」




なんだか淋しそうなサボテンに、そう話しかけながら眠りについた。