初めて乗るバイクに戸惑うあたしに、雅人は優しく教えてくれた。



「バイクを、足でぎゅっと
 挟む感じな。そう、
 で、手はしっかり
 俺の体の前で組んで。」


あたしは言われるがまま、雅人の体にしがみついた。



「よし、行くぞ!」


――ブルンッ、ブルルン!
    バババババッ!


爆音と共にあたしの鼓動も高鳴った。



雅人は危ないからと、バイクをゆっくりと走らせてくれた。



「さむーい!でも気持ちいー♪」



「サイコーだろ♪」




雅人のバイクは、家の方向とは違う山道をどんどんと登って行った。



「ねーっ!どこ行くのー?」



「内緒ー!」




バイクは、公園のだだっ広い駐車場に停まった。



――ブルンッ・・・

エンジンを切り、バイクから降りて、雅人とあたしは公園を少し歩いた。



「寒くないか?」



「うん、ちょっとね」



雅人は自分のジャンパーを脱ぎ、あたしの肩にかけた。



「急いで出て来たからな。
 おまえの服までは
  気が利かなかったわ」



「さんきゅっ」




公園を横切り、少し坂を上るとそこには夜景が見えた。




「わぁー!きれーい!」



「だろ?
 100万ドルの夜景だろ」



一面に広がる夜景は、キラキラと輝き、まるで宝石箱のようだった。



雅人は、あたしに何も聞かなかった。



それがすごく楽だった。




「ハックシュン!」



「風邪ひくなぁ。帰るか?」



「ん・・・なんか、まだ・・・
   帰りたくないな・・・」



「おーい、
 それって男には禁句だろ」



「だって・・・」



「わかったよ!
 いい所連れてってやるよ!」



「どこ?」



「スカーッとするぞ!
     行こうっ!」



雅人に手を引っ張られて、公園を走った。




雅人とあたしはいつの間にか、自然に雅人と手を繋いでいた。