「はぁぁ・・・手、冷たい・・・」




もう赤い手袋はないんだ。



那抖のぎゅっとしてくれる暖かい手も・・・




「自分の手袋。

 編まなくちゃね・・・」




とりあえず誰にも見つかりそうにない所に、膝をかかえて座った。




何やってんだろ・・・あたし。


なんだか自分が情けなくなった。




しばらくすると、爆音とともにバイクがあたしの前を通り過ぎて行った。



一人暴走族ですか・・・

――♪〜♪〜

すると携帯の着信音が鳴った。



「紗茅?バイクの
 エンジンの音聞こえる?」



「うん、聞こえる!」



「俺だから出て来て!」



あたしは、走ってバイクに近づいて行った。



「紗茅!大丈夫か?」



「うん、ごめんね。
  ねぇ、バイク・・・」



「無免!
 捕まる時は一緒だぜ!」



あたしはヘルメットをかぶせられ、雅人の後ろに乗った。