あたしは携帯を開き、那抖に電話した。




でも、いくら待ってもプルルルと言う悲しい送信音しか聞こえてこなかった。




そっか・・・そうだよね。




あたしの顔なんか、見たくなかったんだよね。




あたしは、一気に現実に引き戻された。




はぁぁ・・・

どうやって帰ろう・・・




「あ!そうだ。困った時の・・・」

あたしは迷わず雅人に電話をした。



「もしもし・・・」


《お〜!紗茅どうした?》


「もしもし、雅人・・・」



《おい、泣いてんのか?
     今どこだよ!》




あたしの声の調子で、何か変だとわかったみたいだった。




《おい、どこにいるんだ?》



「どこなんだろ・・・
 埠頭みたいなとこ」



「他は?」



「なんか、倉庫が沢山ある」



「なんとなくわかった!
  すぐ行くから待ってろよ!」



「うん・・・」


さすがスーパーマンだ。

これだけで、居場所がわかるなんて・・・



携帯を切り、携帯と一緒に手をポケットへ奥深く突っ込んだ。