「ごちそうさまでした♪
 あぁ、お腹いっぱ〜い♪」




「それはよかった♪」

素敵な笑顔で笑ってくれた。




「ねぇ、さっちゃん?」




「はい・・・?」




「僕と・・・
 付き合ってくれないかな?」




「えっ?」




「いきなりごめん」




「それは・・・」




「だよねっ、急すぎるよね。
 じゃあ、よかったら考えておい
 てくれるかな?」



「あ、はぁ・・・」




那抖の顔が浮かばない訳ではなかった。




でも那抖には・・・




「じゃあ、送って帰ろうか」




「あ、はい」




帰りの車の中は沈黙だった。




車の窓から見える風景は、白でも黒でもなかった。




ただ今は何も考えたくない。




頭の中から、那抖のことを消しておきたい。




いや・・・

いっそあのままあたしが、消えてしまえばよかったのに・・・




「さっちゃん?着いたよ?
 ほんとに駅前でよかった?」




「あっ!
 ありがとうございます」




「じゃあ、また誘うね。
 帰りは気をつけてね」



帰りも軽快なエンジン音をさせて、日向さんは帰って行った。