日向さんとは駅前で待ち合わせした。




赤いスポーツカーが大きなエンジン音をさせてやってきた。




日向さんは車から降りて、助手席のドアを開けてくれた。




「どうぞ、姫♪」




「あっ、ありがとうございます」




なんだか新品の革の匂いがしてドキドキした。




「仕事帰りなんですか?」



「うん、そうなんだ!
 残業なくてよかったよ」




「あの、どうして
 あたしを誘ったんですか?」




「どうしてって・・・
 ん〜今まで気付かなかった?」




「何をですか?」




「俺が毎日店通ってたの」




「え?知らない!」




「この前までチャリ乗って、リュ
 ック背負って、おまけに眼鏡か
 けてたからかな・・・・・・」




「リュック?眼鏡・・・?
 あ―――――――――――!」




「わかった?」




「えっ?えーっ?あの人ぉ?」




「うん、そう」

少しアキバ系のあの人だ!



「びっくりだぁ・・・」




あたしはマジマジと日向さんを見つめて、あの時の日向さんを思い出しながら、一致する所を見つけようとしたけど、できなかった。