名前は日向智幸。

仕事は広告代理店かぁ。




お風呂から上がり、バスタオルで髪を乾かしながら、あたしは名刺とにらめっこしていた。




うーん。していいのかな。
電話・・・


むしゃくしゃするし、暇だし、まいっか。




あたしは、日向さんの電話番号に電話してみた。




《もしもし》

日向さんの声がした。




「あの、あたし・・・」




《あ!コンビニの?》




「えっ、よくわかりましたね?」




《そりゃあ、わかるよ♪
 吉岡さんだよね?下の名前はな
 んて言うのかな?》




「紗茅です」




《何してるの?
 今から出て来ない?》




「今からはちょっと・・・」




《じゃあ明日は?
 明日食事に行こう?》




「え?でも・・・」



《遠慮しなくていいからお兄さん
 に任せなさいって。
 イタリアンとか好き?》




「イタリアン?ポメラニアン?」




《ぷっ!さっちゃん面白いな。
 パスタとかさぁ。
 あっケーキとか好き?》



「あ!大好き!」




《じゃあ、明日7時に。
 迎えに行くよ。いいね?》




「えっ、あっ、はい」




《じゃあ、明日楽しみにしておく
 からね♪おやすみ♪》




「はい、おやすみなさい」



あまりの行動の早さに断る理由さえも見つからなかった。

いいの?こんな簡単で...




「まっいっかぁ・・・」




那抖と別れてからは、投げやりになっているというか、何もかも考えるのがめんどくさくなってた。




疲れていたあたしは、ベッドへ潜り込み、電気を消してすぐ眠りに入った。