「こんにちは♪」



コンビニのレジで、ポカーンとしてたあたしに声をかけたのは、この前赤いスポーツカーに乗って来たかっこいいお客さんだった。



「ん・・・あぁっ、こんにちは!」



「久しぶりに見るね。体調でも悪かったの?」



「あ・・・ちょっと・・・」



「そっか・・・君の笑顔が見れなく
 て寂しかったよ。
 これからはまた毎日見れるね」



「えっ?はぁ・・・」


見事なまでにキザな台詞に感心したあたしは、商品を袋に入れていた手を一瞬止め答えた。



「じゃあ、また来るよ。
 あっこれ俺の名刺。
 よかったらいつでも連絡して!
 24時間いつでもオッケー!」



「あぁ・・・あっ、
 ありがとうございました」



あたしは名刺を片手にしたまま、またポカーンと立っていた。



数秒してから、隣に立って名刺をのぞき見している先輩に気付いた。



「うっわぁ!びっくりしたぁ!」



「ふーん。ん〜まぁ、悪い職業で
 はないわねぇ。でも
 さっちゃん。気をつけなさいよ」




「名刺あげましょうか?」



「失礼ね。私にだって
 彼氏いるんだからね」



「えー?先輩に彼氏?
 いつの間にぃ?
 なんかかなりショック・・・
 あたしというものがありながら
 どんな人なんですか?」



先輩は携帯をポケットから出し、待ち受けにしている写メを見せてくれた。



かわいらしい、女の子のような男の子だった。



二歳年下だと言う。



「かわい〜い!白石先輩・・・?
 どっちが男かわかんないねぇ」


先輩が大好きなあたしは、わざとからかった。



「吉岡・・・喧嘩売ってんの?」



「だってあたしの先輩がぁ・・・
 妬けちゃいますよ〜!」

あたしは泣きまねをした。



「よし、よし。
 かわいいなぁ、吉岡は」
先輩はナデナデしてくれた。


「今度連れて来て下さい。
 虐めてやりますから!」


「絶対やーだ!」

ナデナデしていた手で、髪の毛をグシャグシャにされた。