「ねぇ、さっちゃん?」




「あ?」




「・・・あの、よかったら
 明日どこか出かけない?」




「いや、いい・・・・・・」




「じゃあさっ・・・」




「一人にしといて」




「あっ、うん、ごめんね。
     じゃあ帰るね」




あたしは名雪を送りもせず、ベッドに寝転んだまま玄関のドアが閉まる音を聞いた。



なにもかもがウザイ。




名雪の優しい言葉も、心に響かなくなった。




もうなんにもやる気がでない。




ママの笑顔しか浮かんでこない。




「ねぇママ・・・
 あたし、もうだめみたい」




自殺をすると、天国へは行けないって誰かが言ってたっけ。




何が天国だよ。




神様なんていやしない。




いたらママを連れて行ったりしない。



そんなことはどうでもいい。



今の苦しみには堪えられない。




何が『生きてなきゃいけない』だよ。




えらそうに・・・




人に説教してる自分が一番弱いじゃない。




あたしは玄関の鍵もかけず外に出た。




最後に、ママと過ごしたこの街を歩こう。