次の日、教室の隅で窓から空をずっと眺めていた。




相変わらず空は青い。




担任の久藤が、あたしの机の前に立って言った。




「吉岡さん、大変だったわね。
 何かあったら先生に
 言ってちょうだいね?」




「どーも・・・」




学校には来たくなかったけど、家にいるとおかしくなる。




窓から校庭を見下ろした。



みんな楽しそうに笑いながら走ってる。




あたしにはもう家族がいない。



一人ぼっちだ。




なんであたしだけ・・・




那抖や、那抖のパパ、おばあちゃん・・・




なんだか最近、あの家に行く度よけい辛くなる。




あたしは血が繋がってないんだと感じる。




例えば、海に流されたりしてあたしと那抖がいたら、おじさんはどちらの手を取るだろう。




那抖に決まってる。




おばあちゃんだって・・・




那抖の手を取るに決まってる。




いくら家族だと言われようが、あたしはほんとの家族なんかじゃない。




簡単に離婚ができるように、家族なんてすぐに壊れてしまうんだ。




ママは違う。




ママはあたしにとって母親であり父親であり、どんな悪いことをしようがあたしの味方だった。




何かあるごとに、「ママが気付いてあげられなくてごめんね」って、あたしを叱るより、自分を責めてた。




昔、「今すぐ会いたい人は?」って言われたらパパだったけど、今は誰よりもママに会いたい。




会いたい・・・




横を通りすぎながら高槻は、笑ってあたしに言った。




「あんたも一緒に
 死ねばよかったのに」




そうか・・・




死ねばいいんだ。