火葬場に着くと、一人ずつ焼香した。




「それではお別れです。
      ・・・・・・合掌」




・・・・・・お別れ?




「・・・ママァ?」




あたしは棺桶に近づいていった。




「さっちゃん・・・?」




「紗茅!」




「やだぁーっ!



 ママ連れてかないで!



 ママ!ママッ!やだぁーっ!」



あたしは棺桶にしがみついた。



「さっちゃん!さっちゃん、
      しっかりなさい!」




しがみついたあたしの体は、おばさん達の手で棺桶から剥ぎ取られた。




「いやぁぁぁ―――!」




――ガシャーン!




大きな音と共に鍵がかけられた。




「ママを連れてかないでよー!」




「紗茅・・・」


那抖があたしを連れて行こうとした。




「やっ!嫌だっ!

 灰になったママなんか

      見たくない!
 そんなの見たくない!

 ママ暑いの嫌いなんだから!

 ほんとに嫌いなんだからーっ!

     ―――やめてよー!」




「紗茅!あっちで待とう?」




「やだ!ここにいる!」




親戚達はヤレヤレといった顔をして、背を向け控室に向かった。




「紗茅・・・」




「どうしてよ!


 どうしてママを焼いちゃうの?


 やだよ!ママを返してよ!


   ―――返して!ママー!」




どうしようもない気持ちを那抖にぶつけた。




那抖は泣きながら、あたしを強く抱きしめた。




「うわぁぁぁぁぁぁぁ!」



あたしの声は、静かな斎場に哀しく響き渡った。