よくあるドラマのように、蘇生させようとのこともなかった。




ただ、ゆっくりと息をひきとるのを待つだけだった。




それから3時間後・・・




ママは亡くなった。




担当医がゆっくりと病室へ入ってきて脈をみた。




「6時20分。ご臨終です」




「やだ・・・ママ・・・?




 うっぁぁぁ・・・




     ママ!




  ごめん・・・ごめんねぇ!




  うっぁぁぁあっ!」


あたしは、ママの体にすがり付き泣いた。




悲しみに混じって、何もできなかった後悔と、いつか治ると信じていたママに何も真実を告げられなかった後悔が込み上げた。




「紗茅。大丈夫か?」

那抖が泣きながら、あたしの背中をさすってくれた。




パパの時に受け入れられなかった『死』と言うものも、今度はひしひしと感じていた。




ママはいなくなったんだ。


ママは動かない。



声をかけても返事もしない。




横たわる痩せ細った体を見ると、胸がギュッと痛くなった。




ママ・・・




あたしはなんにもしてあげられなくてごめんね。






     ごめんね。