あたしは雅人と別れて、そのままママのいる病院へ行った。




ママに話しを聞いてもらえば、気持ち的に少しは楽になる。



――カラカラカラ・・・

「ママ?」



病室に入ると、ママがベッドのパイプにしがみつきながら呻いていた。



「痛い!痛い!うぅっ・・・」



びっくりしたあたしは、すぐに緊急ボタンを押した。



「ママッ!
 どこが痛いの?さすろうか?」



「触らないでっ!」



ママの背中に触れた途端、手をはらわれた。


「ママッ!」




呆然としていると、看護婦さんがやってきた。



「どうしましたか?吉岡さん!」



「さ・・・ち・・・もういいから・・・
     ・・・帰りなさい・・・」



「でもっ!」



「いいから・・・」



看護婦さんの方を見ると、こくんとうなづいた。



「うん。じゃあ、帰るっ・・・」

あたしは病室を飛び出した。



ママの前で泣く訳にはいかない。



ママが苦しむ姿を、まともに見ていられなかった。



涙が溢れて前が見えない。



「うっうっううぁあっ!」
あたしは、人目も気にせず泣きながら歩いた。




何の役にも、たてない自分がはがゆい。




何もできない自分が悲しかった。