その服装に似合わない顔立ち。



黒くてサラっとした髪。



笑うとなくなりそうになる目。



きっと服装さえ違ってればモデルにでもなれるに違いない。




普段からあまり人の顔を見ないあたしは、この時ばかりは完全に見入ってしまった。



徐々に、あたしのしかめっつらが和らいでいった。




「なんだよ〜!
 ムキになんなよ小僧〜!おっ!
  おまえ惚れちゃったかぁ?」




「なっ何言ってるんすか!」




みるみるうちに、若い男の人の顔が真っ赤になった。



「ねぇちゃん、俺おっでん♪
   愛を込めて入れてねん♪」




「あっ愛ですか?はっはい!」




「でぇーこんね!
 俺のかぁちゃんの足も
 でぇーこんっ♪なんつって〜!
      グハハハハハー!」




「おやっさん!
   奥さんにちくりますよ!」




「おっ!おまえはちくわか?
 ちくわがいいのか?
      グワッハハハハ!」




「プーッッッ!!」


つい、吹き出してしまった・・・




「あっ!」




「ねぇちゃ〜んっ!
  つゆだくかよっ!」




「すみません!
 すぐに取り替えますから!」




「いいってことよ〜♪
  こちとら江戸っ子!
 小さいことにはこだわらねぇ。
        なっー!」




おやっさんとやらが若い男の子に肩を組んだ。




「はぁぁぁ・・・」




若い男の子が、手でこめかみを押さえて深ーくため息をついて言った。




「おやっさ〜ん。
 いつから
 江戸っ子になったんすか・・・」