那抖のことを聞いてショックではあったけど、雅人の前では落ち着いた振りをした。




「そっかぁ・・・」



「おい、大丈夫か?」



「うん、大丈夫だよ」



「言ってよかったのかな。
        ・・・・・・俺」



「うん、
 いつかわかってたことだよ」



「でもこういうのって
 本人から聞きたかっただろ?」



「あ、うん、まぁね・・・」




でも、那抖は言わないだろうって思った。




那抖ってそんな優しい奴だ。




「おい、がんばれよ?」



「本気でそう思ってる?」
そう言ってあたしは少し笑った。



「いや・・・ごめん」



雅人が赤い顔をして、グラスの中の氷をストローでクルクルと回した。




「おまえって
 なんでもお見通しだな」



「そんなことないよ」



「あーあ、
 告る前に撃沈かよ・・・」



「彼氏持ちに
 告ろうとするなっつーの!」



二人は笑った。




お店を出ると、またねって手を振って雅人を見送った。




「ふぅー」




だからどうしろと・・・?




どうあがいても、死んだ人に敵う訳がない。