涙が止まらなかった。


裏切られた気持ち。


名雪の気持ち。




せっかく楽しかったのに、なんでこうなるのよ。





「・・・ち〜!紗茅ぃ〜!」




那抖が息をきらしながら、あたしの後を追いかけて来た。




「ハァハァ、
 おまっ、足はえーよ!」




そのすぐ後ろから、名雪が追いかけて来た。




「さっちゃぁ〜ん!」




「名雪!」




「置いてっちゃ、やだぁ!」




「・・・ごめんね、名雪・・・・・・」

自分の鈍感さに嫌気がさした。




「いいの!名雪、
 さっちゃんのほうが大事!
 だから
 松本君にはさよならしたの」




「さよなら?って・・・?」




「名雪、松本君が
 さっちゃんのこと好きに
 なるより、さっちゃんがいなく
   なるほうが辛いんだよ」




「名雪・・・あたし
 何にも気付かなくてごめん。
 ほっんと鈍感だから・・・」




「そっ!こいつアホだからな!」

那抖があたしの頭を、ポンポンッと押さえる。




「はぁ・・・今回ばかりは
  何も言えないよ・・・」


那抖と名雪は顔を見合わせて笑った。


「紗茅らしくねーぞ!」


「そうだよ!ねっさっちゃん
      お参りしなきゃ!」




「そうだね」




三人は並んで賽銭箱の前で両手を合わせた。



きっと三人が願ったことは一緒だろう。




『今年もみんなが健康で
 幸せでありますように・・・』