「那抖がね、
 泊まりに来ないかって・・・」




「泊まり?」




「うん・・・」




「いいのかしら。
 お邪魔して・・・」




「お邪魔はいつもしてるから
  いいんだろうけどさぁ・・・」




「あぁ、そっちねぇ〜」

ママが変な勘違いしてる。


「そっちじゃなくってぇ!」



大晦日に、人の家に行くにはなんとなく違和感がある・・・




「紗茅は、そんなでも誰にでも
 気を遣う子だからねぇ・・・」


そんなでもって・・・

「泊まるの
 やめとこっかなぁ・・・」




「淋しくないの・・・?
     一人で・・・」




「紅白見ながら
 歌いたいもん♪」




「そうね、
 紗茅の毎年の行事だもんね。
 今年は聞けなくて残念だわ」




「今年は一人紅白だぁ」




「ちゃんと食べなさいよ。
 カップ麺とかやめなさい」




「ゲ!見抜かれてる・・・」



「わかるわよ。フフフ」




ポケットに入れていた携帯が振動した。




「あっ名雪から電話だ!
      もしもし?」




《もしもし〜♪さっちゃん♪》




「どしたぁ?」




《ねぇ、明日一緒に
 初詣行こうよ♪四人で!》




「四人って?」




《松本君誘ったの》




「そうなんだぁ!いいよ〜♪」




《じゃあ、明日の10時
 神社前に待ち合わせね♪》




「オッケーイ♪」




なんとなく、那抖にお泊りを断る口実ができたと思った。