――♪〜♪〜


「あっ
 音マナーにするの忘れてた!!
        さーせんっ!」



バックミラーで迷惑そうな目で見る運転手さんにそう言って、ポケットから急いで携帯を出し開いた。




ディスプレイを見ると那抖からだった。




切る訳にも行かず、他に乗客もいないので小声で話した。




「もしもし?」




《紗茅おはよう♪》




「おはようって、
 もうお昼前だよ」




《あぁー!よく寝たぁ!》



那抖はまだ布団の中で、伸びをするのがわかった。




そう言えば、あたしに付き合って最近夜帰るの遅かったもんなぁ。




《紗茅?今どこ?》




「バスだよ。
 ママの病院に向かってる」




《そっかぁ...言ってくれれば
 一緒に行ったのに。
 なぁ、今日大晦日じゃん?
   うちに泊まりに来いよ!》



「泊まり・・・?」




《あぁ、布団も用意してるしな!
 病院終わったら
   昼飯でも一緒に食うか?》




「あぁ・・・うん・・・」




《もしもーし!》




「あっ、うん、いいね。
  また後で電話するよ」




《わかった、
 じゃあ、後でなぁ♪》




年末になると、みんなハイテンションになるのはなぜだろう。




別にたいしたことでもないのに・・・




そう思いながら、道行く人達を冷めた目で見つめていた。