「おばあちゃん、二人は
 いっつもこんなだったの?」


無事に食べ終わり、お皿を洗うのを手伝いながら聞いた。



「そうだよぉ。
 母親がいる時は、二人とも
 仲が良かったんだけどねぇ」



「那抖のママは?」



「病気で那抖が小さい頃に
 亡くなっちまったよぉ。
 那抖はかわいそうだ。あんな
 ぼんくら親父に育てられて。
 あの親父のおかげで変な風に
 ぐれちまって。
 バイクは乗り回すは、
 煙草は吸うわで、
 もう目茶苦茶だったねぇ」


「そうだったんだ・・・」



「だけど、最近だねぇ・・・
 なんだか那抖が明るくなって、
 素直になってきて・・・
 よく喋るようになってきたよ。
 さっちゃんのおかげだねぇ」



「いや、そんな・・・」



「那抖は
 優しくしてくれるかい?」



「うん、めっちゃ優しいよ♪」



「そうかい、そうかい。
   そりゃあよかった」



おばあちゃんは、また顔をくしゃっとして笑った。



「那抖はまだバイク乗ってるの?
        煙草は・・・?」



「もう、最近は乗ってないよぉ。
 でもバイクは好きなんだろね。
 毎日のようにバイクを磨いて。
 煙草もすっぱりやめたねぇ。
     あの時からねぇ・・・」



「あの時・・・?」



「いや・・・うん。さっちゃん。
 またいつでもいらっしゃい」



「あ。うん・・・」


2階のパパの寝室に行っていた那抖が下りて来た。



「ばっちゃーん、父ちゃんが
  パジャマはどこかって〜!」



「はい、はい。今行きますよぉ
  また忙しくなるわねぇ〜」



そう言ってるおばあちゃんの顔は、とてもうれしそうだった。