――那抖のパパが退院する。



そう聞かされたのは、昨日の夜だった。




「まったく・・・早く言っておいて
 くれればお祝いぐらい
  用意しておいたのに・・・」



あたしはぶつぶつ言いながら、朝早くからヘアアイロンで髪の毛をクルクルと巻いていた。




那抖のパパの退院祝いをする為に、朝からおばあちゃんと準備することになった。




那抖ってば、いっつも突然言うんだから・・・




――ピンポーンッ!


「あっ・・・はーい!」




あたしは急いで上着を着て、バッグと鍵を持って玄関のドアを開けた。




「おはよー♪紗茅♪
 今日はよろしくな!」



那抖は満面の笑みで立っていた。




こんな笑顔で立たれてたら、文句なんて言えっこない。




「おはよう♪任せといて!
   何もできないから♪」




玄関の鍵をかけ、自転車で二人乗りして那抖の家に向かった。