結局、那抖からは誕生日の夜にかわいいピアスをもらった。




あたしは『一大決心』をして、耳たぶに穴を開けることにした。




「やだぁ、痛いよ、痛いよ〜!」




あたしはドレッサーの椅子に座り、耳を塞いだまま那抖が持ってきた仮ピアスを睨んでいた。




「まだ、なぁんにもしてねーし」




那抖が袋の中身を出した。



「やだぁ、絶対痛い!
  その太い針何よ!」



「へっへっへっ!」
那抖が意地悪く笑う。




「だいたいピアス買って来るのが
 間違ってる。親にもらった体に
    穴を開けるなんて・・・」




「何ぶつぶつ言ってんだ?
 覚悟しろよ〜♪
      この辺りかなぁ♪」




那抖があたしの耳たぶを無理矢理ひっぱって、マジックで印しをつけた。



「覚悟しなさぁ〜い♪
 ハッピーバースデーイ♪」




「いやぁ―っ!」




――バチーンッ!!



耳の鼓膜が破れるかと思った。




「痛いぃぃぃ―!」




「おい!マジ泣きすんなよ!」




「痛いじゃん!嘘ばっか!
 子供産むより痛いよ!絶対!」




「大袈裟な奴ぅ〜!」




「あぁ、痛いよー!」




「これ貸しててやるからな、完全
 に穴できるまでピアスは無理。
    ちゃんと消毒しろよ?」




「不格好なピアス。
 早くこっち着けたい」



口を尖らせながら、那抖にもらったピアスの箱をもう一度開けた。




水色の石がついた、かわいいピアス。