小さなお風呂の窓は、鍵がかかってなく、ゆっくり開いた。




――カラカラカラ・・・




あたしは背伸びして覗いた。




真っ赤な浴槽。




名雪が浴槽に屈み込みぐったりしていた。




「名雪・・・?

 ・・・・・・名雪っ!



 いやぁ――――――!」




「紗茅っ!いたのか?」




しゃがみ込むあたしの所へ駆け付けた那抖は、窓を覗いた。



「紗茅!
 しっかりしろ!まだ助かる!」




「ほんとっ?ほんとに?!」




「クソッ!
 ここから入るしかないな!」




那抖がよじ登ろうとした時、名雪のママが帰って来た。




「何をしてるの?!」




「おばさん!早く鍵開けて!
      それから救急車!」




玄関を開けお風呂場まで急いだ。




那抖はタオルをつかみ、名雪の手首をきつく縛り、出血を防いだ。




「名雪っ!名雪ー!」


意識がまだあった。




「さっちゃん・・・・・・」




名雪のママはがたがたと震えていた。




「おばさん!抱いてあげて!」




那抖がおばさんに名雪を渡した。




「名雪ちゃん、名雪ちゃん!」




「ママ・・・ごめん・・・
 わ・・・たし・・・
 お兄ちゃんみたいに
  なれなくて・・・・・・」




「名雪・・・あなたっ・・・」




それからしばらくして救急車がきた。