放課後・



「じゃあ行ってくるね!!」

「うん★頑張って!」





そう言い残し、葵は屋上に向かってった。



葵の姿が見えなくなったころ、私は門で待つ事にした。






このことはもう麻紀には言ってあった。
数十分後・




葵は泣きながら門へ来た。




振られたのか...。


私は一瞬でそう思った。


「香奈ぁ~..。振られちゃったよぉ...。」

「そっかぁ...。でもよく頑張ったよ!」

「今度は香奈の番ね...。」

「えっ?」



葵はなにを言ってるの?



今度は香奈の番って.....。



「香奈も雄輔先生の事が好きなんでしょ?」

「えっ....」

「本当のこと言っていいんだよ。もう私わかってるから...。」

「葵....。」

「私ね今日告白して振られたら、香奈にゆずるって決めてたから。」

「.....。」

「だから私の分まで頑張って!」



私はその言葉に涙を流した。
「葵....。ありがと...」

「泣かないでよ~!まだ香奈は振られてないんだから!!私はもう振られちゃったけど(汗)だから、私の分まで頑張って幸せになって!!」

「うん...。ありがと...葵...」

「泣かないで~~。よしっ!今日はどっか行こう!」

「うん...」




私は葵が強がっているとわかったが




強がんなくて良いんだよ





と、声をかけることはできなかった。
次の日・



私は昨日葵が雄輔先生に振られた事と、葵が私の恋を応援してくれるということを全部麻紀に話した。



「昨日どうだったの?」

「へっ?なにが?」

「だから昨日の...葵って子の告白だよ!!」

「あぁ...あれね。振られたって!」

「あっ、そうなんだ!でもよかったね!」

「なにが?」

「だからぁ~、振られて!!」

「まぁね。でもなんか、振られたら私にゆずるつもりだったからって言ってた。」

「じゃあ今度は香奈が協力してもらうの?」

「協力はしてもらわないかなぁ...。あっちもしばらくは話したくないって言ってるし。」

「そっかぁ...」

「でもどうやったら振り向いてくれるのか考えたりはするよ!」

「例えば?」

「う~ん.....ダイエットするとか?」

「ダイエットかぁ...。でも香奈は今でも痩せてるし、いんじゃない?」

「そんな軽きに考えてるからダメなんだよぉ!-2㎏は痩せるよ!」

「倒れたりしないでよぉ!」

「わかってるって!」



そんなくだらない話をしているうちに学校に着いてしまった。
「じゃあまた帰り!」

「うん!じゃあね!」



私は麻紀と別れ、教室へ向かった。




「おはよぉ!香奈!!」



後ろから声がしたので振り向くと、葵が走ってこっちへ来ていた。



「あっ、おはよぉ!」

「作戦考えた?」

「作戦?あぁ...考えたんだけど、ダイエットはどうかな?」

「あっ、良いかもね!!でも香奈、あんま太ってるように見えないけど...。てか、逆にスリムだよ!!」

「でも...いいんだよ!!先生から見たら太ってるかもしれないし...。他に良い考えあったら教えてね!」

「うん★もちろん!ダイエット、無理はしないでね!」

「うん!わかってる!ありがと!」

「いえいえ★」



本当に雄輔先生振り向いてくれるといいなぁ...。

キーンコーンカーンコーン・


「あっ、チャイム鳴っちゃった...。」



チャイムが鳴った瞬間、葵が静かになった。



きっと雄輔先生に会うのが辛いのだろう。



「大丈夫だよ!先生も多分、葵のこと振っちゃって気まずいと思う....。」

「うん...。昨日すぐ振られちゃったし...。」

「....申し訳ないと思ってるよ!」

「そうかな....。」

「きっとそうだよ!あっ、先生来ちゃった。じゃあまたあとで。」

「うん...。」



いったん葵とは別れ、席に着いた。
「はい!早く席に着いてください!」




雄輔先生はいつも通り元気だった。



葵のほうを見ると葵は下を向いて先生を見ないようにしている。



やっぱ気まずいよね...。


先生、気にしてるのかな?





あとで聞いてみよう。



今私は、自分の恋ではなく葵の恋を気にしていた。
キーンコーンカーンコーン・



「じゃあホームルーム終わります。次の授業は遅れないように。」



私は雄輔先生がクラスを出たあと、すぐに先生の元へ駆け寄った。



「雄輔先生っ!!」

「なんでしょう?」

「あのっ、ここじゃ話しにくいんでちょっと移動しませんか?」



そう言って私は一目のない場所へ来た。




「葵のことなんで振ったんですか?」



私はいきおいでこんなことを聞いてしまった。



「あっ....それは....平山さんに言う事じゃありません。」

「なんでですか?葵の事振って気まずくないですか?」

「気まずいです...。でも、俺は先生なので...」

「そうですか...。そうですよね...。わかりました....。失礼します...」




そう言い残し、私は先生の前から立ち去った。
クラスへ戻ると葵が駆け寄ってきた。



「どこ行ってたの??探したんだよ!!」

「ごめんごめん!ちょっとトイレ行ってた(汗」

「なんだ~!誘ってくれればいいのに~!」

「我慢できなくて(汗)ごめんね!」

「大丈夫だよっ!!」

「....無理してない?」

「してないよっ!!次の相手見つけてやるしっ!!!!」

「そっか!....本当に諦めちゃうの....?」

「なにが?」



多分わかってるだろう。


『諦めちゃうの?』


の意味が。



「雄輔先生の事だよ。」

「あっ、、あれはもういいの!!1回振られたら引きずらないタイプだから!」

「そっか....。」

「だから、香奈が頑張ってね★」

「うん...。頑張る...。」



頑張ってなんて言ってるけど強がってる。


私にはわかる。




そうやって無理してるのが私にはわかった。