家を出た瞬間、


【はぁ....】



とため息をついた。





「どうしよう・・・」



私の知らないうちに出てしまった言葉。





でも悩んでいてもしょうがないからまずは麻紀との待ち合わせ場所に行く事にした。
お腹を触りながら待ち合わせ場所に向かっているともう麻紀がいた。



麻紀が遠くで手を振っている。





私は走ろうとしたが、お腹が重くて走れなかった為、歩いてゆっくり麻紀の所へ向かった。




「おはよう!香奈、お腹大きくなったね!」

「うん!でも、親にバレるとこだったよ!(汗」

「そうなの!?そろそろバレるんじゃない??」

「そう・・・。だから悩んでるんだよね・・・」

「決心がついたら、ちゃんと言うんだよ?」

「うん。わかってる。」




こうしてお腹にいる赤ちゃんのことを話しながら学校に向かった。
いつもより時間はかかったが無事学校に到着した。



1時間目は体育。


雄輔先生の授業だ。




でも私は体育なんかできる体じゃないので親に内緒で見学している。




雄輔先生もそれは承知。





私たちが通っている学校は1時間目が始まる前に体操服に着替えるのが学校のルール。



見学者も着替えなきゃいけない為、着替える時はお腹を壁側に向けて着替えていた。






そしていつも通り、体操服を持って更衣室に向かっている途中、私は急に意識を失った。
俺はいつも通り授業を始める為、教室に向かった。




すると、廊下でなにか騒いでいる。



廊下の中心に野次馬ができていて、




“大丈夫?”



とか




“先生呼んだほうがいいんじゃないの?”




とか聞こえた。




だから急いで野次馬のできている方へ足を運ぶと、そこには平山さんが倒れていた。
俺は急いで野次馬の中に入った。



「先生、平山さんが急に倒れたんです」




平山さんの近くにいた子が言う。




「とにかく先生は保健室に連れて行きます。みんなは自習をやってて。」




そうみんなに言いかけ、俺は平山さんを抱いて保健室に運んだ。




保健の先生は急いで病院へ連絡し、数分後に救急車が来た。






まだ平山さんの意識は戻らない。




俺は平山さんの担任として一緒に病院へ向かった。
病院に着き、平山さんはどこかに運ばれた。



どこかはわからない。




一緒に医師たちと付いて行ったら途中で




「担任の方はここでお待ちください」




と、言われてしまった。





その数分後、平山さんのお母さんが来た。





「香奈は!?香奈は、どこにいるんですか!?」




平山さんのお母さんはそうとう戸惑っている。




そりゃ、そうだよな。



「大丈夫です。今、治療中です。」

「香奈が倒れたなんて・・・。どうして?どうしてなんですか?」

「わかりません。俺が見たときはもう意識がありませんでした。回りの生徒たちによると急に倒れたと言っていましたが・・・」

「・・・そんな・・・」




すると、医師の方が来た。



「あのっ、香奈は・・!?」

「香奈さんは、妊娠していますが、それが原因で倒れたみたいです。」

「・・・に、妊娠・・・・?」



とうとう妊娠のことがバレてしまった。




「まさか・・・。妊娠って・・・。香奈が妊娠するわけないじゃないですか・・・。」




俺は何も言えなかった。




俺は妊娠してる事も知ってて、しかもそれが俺の子など今の平山さんのお母さんには残酷すぎる。






あとで・・・・言おう。


私は気がついたらベッドの上で寝ていた。



「香奈、大丈夫?」

「あっ、お母さん・・・。ここ・・・病院・・・?」

「そうよ。あと・・・、妊娠ってどういうこと?」

「えっ?」



私は一瞬、なにを言われてるかわからなかった。



なんで知ってるの・・・?



「あなたが倒れた原因、妊娠に関係あるって・・・」



私はもう嘘が通用しないと思い、本当のことを言う事にした。




「黙っててごめんなさい。でも・・・」

「産むなんて許しません。」

「えっ・・・?」

「おろしなさい。産むなんて許しません。」



私は下を向いた。




そして呟いた。
「・・・もうおろせないよ・・・」

「・・・なんですって?」

「だって・・・6ヶ月だもん。」

「ろっ、6ヶ月!?なんでそんな大きくなるまで言ってくれなかったの!?ねぇ、香奈!話なさい!!」


私はお母さんに腕を強くつかまれた。




「だって、妊娠したなんて言ったらおろされるに決まってるじゃない!!だから黙ってたのよ!!!」

「だからって・・これからどうするの!?学校は!?お金はどうするの!?」



私はそこまで考えていなかった。



だって、この子を守るので精一杯だったから。


だから、こう言われた時は何も言えなかった。

「・・・・・。」

「そんなことも考えてなかったの!?・・・・あっ、そうよ。相手は!?相手の人を連れてきなさい!!」





そう言われた瞬間、



「あの・・・」



雄輔先生が話に入ってきた。