ベッドに寝かされてお腹を出して、なんかジェルみたいなのをつけられた。




しばらくすると、医師が言った。



「ここを見てください。」



医師の言うとおりその写真を見ると、赤ちゃんがいた。




「元気に生きてますよ。」




私は涙が出てきた。




こんなに頑張って生きてるのになんで赤ちゃんの事を素直に喜べないんだろうって思ってることがバカバカしくなった。



この赤ちゃんは大好きな雄輔先生の子供。



大好きな人の子供。





私は幸せなんだ・・・。
「2ヶ月ですね。元気に育ってますよ」

「ありがとうございます・・・。」



泣きながらお礼を言った。




「お母さんやお父さんには言った?」



私は首を横に振った。



「じゃあちゃんと言って今度また来てください。ちゃんと妊娠してますから。」



私は首を縦に振ることも


【うん】



と、言う事もできないまま産婦人科を出た。
「先生・・・」

「ん?」

「これからどうすればいいの・・・?親には言ってからまた今度来てとか言うし、そんなの無理だよ・・・」

「・・・言わなくていいよ。秘密にしとこ。」

「・・・うん・・・」



こうしてこのあと何も喋らず帰った。



でもこのときちゃんと親に言っておけばよかったのかもしれない・・・。





そしたら・・・







私と雄輔先生はこんなに辛い思いも、悲しい思いもしなくてよかったのにね。



後悔してるよ・・・。






神様・・・。



時間を戻せるのであれば戻してください・・・・。
それから4ヶ月が経った。



まだ親にも友達にも妊娠の事は知られていないが最近だんだんお腹が大きくなっていった。



今は妊娠6ヶ月ぐらいかな?



産婦人科には4ヶ月前に行ったっきり足を運んでいない。




だから今赤ちゃんが元気に育っているかわからない。




だが、最近よくお腹の中で動くのが自分でもわかる。



それで生きてるって認識する。






でもこれから先、お腹が大きくなっていく限り親にバレる可能性が高い。







そしてとうとう.......





妊娠してる事が親に知れてしまった。




ある日の朝・




「香奈~!起きなさい!!」



いつもの通りお母さんが起こしに来る。



「はぁ~い・・・」


私はめんどくさそうな声で返事をする。



そして、お腹を触りながら


「おはよう。赤ちゃん。」



と挨拶をする。




これが最近の日課。
そして学校へ行く準備をする。



最近お腹が大きくなっていってるからスカートがきつい。




そんなお腹を隠すのは難しい。



制服に着替えてリビングに行く。



「香奈、最近太った?」



お母さんに急にこう聞かれた。


「最近お腹に脂肪がたまるんだよね・・。ヘヘッ・・・」



私はそれを頑張って隠す。



「そう。それ以上太らないようにするのよ?」

「うん。わかってるよ。じゃあいってきます」



私は急ぎながら家を出た。
家を出た瞬間、


【はぁ....】



とため息をついた。





「どうしよう・・・」



私の知らないうちに出てしまった言葉。





でも悩んでいてもしょうがないからまずは麻紀との待ち合わせ場所に行く事にした。
お腹を触りながら待ち合わせ場所に向かっているともう麻紀がいた。



麻紀が遠くで手を振っている。





私は走ろうとしたが、お腹が重くて走れなかった為、歩いてゆっくり麻紀の所へ向かった。




「おはよう!香奈、お腹大きくなったね!」

「うん!でも、親にバレるとこだったよ!(汗」

「そうなの!?そろそろバレるんじゃない??」

「そう・・・。だから悩んでるんだよね・・・」

「決心がついたら、ちゃんと言うんだよ?」

「うん。わかってる。」




こうしてお腹にいる赤ちゃんのことを話しながら学校に向かった。
いつもより時間はかかったが無事学校に到着した。



1時間目は体育。


雄輔先生の授業だ。




でも私は体育なんかできる体じゃないので親に内緒で見学している。




雄輔先生もそれは承知。





私たちが通っている学校は1時間目が始まる前に体操服に着替えるのが学校のルール。



見学者も着替えなきゃいけない為、着替える時はお腹を壁側に向けて着替えていた。






そしていつも通り、体操服を持って更衣室に向かっている途中、私は急に意識を失った。