屋上のドアの前にに着くと、ゆっくりドアを開けた。



ドアはいつもより重く感じた。



「はぁ・・・」



そんなため息をついて雄輔先生を待った。



しばらくすると、ドアの向こうから足音がする。





雄輔先生・・・・だよね・・・。




そしてドアが開いた。




目の前にいたのはやっぱり雄輔先生だった。



「平山さん、どうしたの?」




私はゆっくり事情を話した。
「あの・・・」

「別れ話なら聞かないよ?」

「あっ、そういうことじゃ・・・」

「じゃあ・・・何・・?」

「あの・・・私・・・・妊娠したんです」



途切れ途切れに言った。



「えっ!?それ本当!?」




やっぱり驚くよなぁ・・・。



妊娠だもんな・・・。



「はい・・・。でも、おろせって言いますよね?大丈夫です。雄輔先生には、めっ・・・」

「おろせなんていう訳ない!産んでよ。」

「えっ??」

「だって俺の子なんだろ?それなら産んでよ!産んで2人で育てようよ!・・もしかしておろすつもりだった・・・・?」



私はその言葉に涙が出てきた。

「そんな訳ないじゃないですか・・・。産みますよ・・・。私・・・雄輔先生が反対しても産むって決めてました・・。」

「・・・反対なんかしない。産んで・・・」

「・・・うん・・・。でも・・・親に言えない・・・」

「じゃあ言わなくていいよ。なっ?」

「・・・うん」



だって親に言ったら絶対

『おろせ』


って言われるはず。



だって先生との子なんか許されるわけない。





だから言わない。




言われても、絶対おろさない。


私は産むと決めてから数日後の休みの日。


誰にも内緒で先生と産婦人科へ行った。




産婦人科には20代の女性ばかりいた。




私見たいな10代の女の子なんか1人もいない。



私は自分がなぜ妊娠をしてるのか恥ずかしくなってきて顔を下を向いていたが回りからは視線を感じた。





やっぱり私が妊娠っておかしいのかな・・・・。



妊娠しちゃいけなかったのかな・・・?






そんな事を思ってしまった。




ゴメンね、赤ちゃん。





なんか今のお母さん、赤ちゃんの事素直に喜べないや・・・。
恥ずかしながら待合室で待ってるとやっとの思いで呼ばれた。




『平山さん、平山香奈さん。診察室までおこしください。』




「行こうか。」



先生が言う。




「・・・うん。」



私は素直に答えた。





本当は不安だった。



【産む】




って決めたはずだったのに今になってすごく不安になってくる。





だんだん手が震えてくる。





それに気づいた雄輔先生が強く手を握ってくれた。



「大丈夫。」




こう一言かけてくれた。
決心して診察室へ入った。



診察室へ入った瞬間、医師の方が驚いた顔をした。




やっぱ・・若いからかな・・・・・。




そのあとは静かに医師の説明を聞いていた。







そして・・・・検査した。
ベッドに寝かされてお腹を出して、なんかジェルみたいなのをつけられた。




しばらくすると、医師が言った。



「ここを見てください。」



医師の言うとおりその写真を見ると、赤ちゃんがいた。




「元気に生きてますよ。」




私は涙が出てきた。




こんなに頑張って生きてるのになんで赤ちゃんの事を素直に喜べないんだろうって思ってることがバカバカしくなった。



この赤ちゃんは大好きな雄輔先生の子供。



大好きな人の子供。





私は幸せなんだ・・・。
「2ヶ月ですね。元気に育ってますよ」

「ありがとうございます・・・。」



泣きながらお礼を言った。




「お母さんやお父さんには言った?」



私は首を横に振った。



「じゃあちゃんと言って今度また来てください。ちゃんと妊娠してますから。」



私は首を縦に振ることも


【うん】



と、言う事もできないまま産婦人科を出た。
「先生・・・」

「ん?」

「これからどうすればいいの・・・?親には言ってからまた今度来てとか言うし、そんなの無理だよ・・・」

「・・・言わなくていいよ。秘密にしとこ。」

「・・・うん・・・」



こうしてこのあと何も喋らず帰った。



でもこのときちゃんと親に言っておけばよかったのかもしれない・・・。





そしたら・・・







私と雄輔先生はこんなに辛い思いも、悲しい思いもしなくてよかったのにね。



後悔してるよ・・・。






神様・・・。



時間を戻せるのであれば戻してください・・・・。