帰りのホームルームが終わり、すぐ麻紀のクラスへ足を運んだ。
麻紀のクラスはまだ終わっていないようだ。
私はあまりのだるさにその場へしゃがみこんだ。
麻紀、まだかなぁ・・・
体が重いよ・・・。
そして5分くらいして麻紀のクラスのホームルームが終わったようだ。
しばらくすると麻紀が1人で教室から出てきた。
「香奈、どうしたの!?」
「麻紀~・・・。体がだるくて・・・」
「大丈夫!?とりあえず移動しよう!動ける?」
「うん」
やっぱ麻紀は優しい人。
麻紀が友達でよかった・・・。
私はだるいのを我慢し、校門の所まで来た。
「だるい意外に症状ある?」
私は返事をせず、首を縦に振った。
「どんな症状?」
「だるくて熱っぽい・・・。あと、生理も2ヶ月近くきてない・・・」
「香奈・・・それ・・・・」
「えっ?」
「・・・妊娠じゃない・・?」
私は頭が真っ白になった。
私が妊娠・・・?
そんなことありえないよ。
だって15歳だよ?
産めるわけないよ・・・。
「そんなわけ・・・」
そうだよ。
雄輔先生の子供は嬉しいけど、妊娠なんて早すぎる・・・。
本当は嬉しい。
本当は嬉しいけど、この歳じゃ・・・。
「とりあえず薬局に行って妊娠検査薬買おう?」
本当は嫌だったが私は素直に
「・・・うん・・・」
と、答えた。
そして私と麻紀は近くの薬局に行き、妊娠検査薬を買った。
私はすぐ薬局のトイレで検査をした。
お願い・・・。妊娠してないで・・・。
その願いも儚く消えた。
結果は.........
“陽性”
妊娠していた。
私はその場でしゃがみこみ泣きじゃくる。
麻紀は私の異変に気づき、
「大丈夫?」
と、声をかけてきてくれた。
私は泣きながらトイレを出た。
「麻紀・・・・。どうしよう・・・。陽性だったよ・・・。」
麻紀は驚いた顔をして言った。
「明日、病院行こう」
私は麻紀の顔を見た。
「待って・・・。雄輔先生に報告してからおろしたいの・・・。そしたら・・・もしかしたら・・・別れちゃうかもしれないけど・・・。雄輔先生には嘘はつきたくないの・・・。だから・・・待って・・・」
「・・・わかった。」
「ごめん・・・」
「何かあったら言うんだよ?」
「うん。ありがと」
そして薬局のトイレを出て麻紀に家まで送ってもらった。
麻紀は心配そうな顔をしていた。
ごめん。麻紀。
こんなに心配かけて・・・。
ごめんね・・・。
私は自分の部屋で親にバレないように声を押し殺して泣いた。
たくさん泣いた。
そしてたくさん悩んだ。
妊娠してるって気がついたときは産みたくないって思ったけど、今思うとこんなことでせっかく私のお腹にやどってくれた大切な赤ちゃんなのに『おろす』など言っていいのか。
そして産んで、ちゃんと赤ちゃんを育てられるだろうか。
頭の中で色んな不安がよぎった。
雄輔先生は『おろせ』など言うかもしれない。
それでも元気に赤ちゃんを育てられるだろうか。
一晩中悩んだ。
そして決めた。
私は........................
赤ちゃんを産む。
せっかくの赤ちゃん。
もう二度とできないかも知れない赤ちゃん。
雄輔先生に反対されようと私は絶対産む。
赤ちゃんを産んでみせる。