でも、ここでブチ切れてしまったら今までの努力が水の泡になってしまう。


それだけは避けたい。


クソッ。なめやがって。


バンッと力任せに机を両手で叩くと、教室が一瞬にして静まり返った。


「こ、小林君?どうしたの?」


「……先生。僕、具合が悪いので早退します」


「あら、そう。担任の佐伯先生に伝えておくわ」


「ありがとうございます」


俺は沸き上がる怒りをぐっと堪え、そろそろと立ち上がった。


そんな俺を見て、さも自分が勝ったかのように誇らしげな表情で見つめるババァ。


ババァ……てめぇだけは絶対に許さねぇ。


俺は分厚いメガネの奥で、ギロリとババァを睨みつけた。