「優華ちゃんにホッカイロあげたんでしょ?」


「あぁ」


優華ちゃんと初めて言葉を交わした日。


確かに俺は優華ちゃんにホッカイロを渡した。


もし、その『大切な人』が自分だとしたら……。


そう考えると、嬉しさがこみ上げて来て。



「ねぇ、杉崎君。たまには、強引に行くのも手かもよ?」


「強引に?」


「そう。優華ちゃんの気持ちが杉崎君にあるうちに、ちゃんと捕まえておかないと。優華ちゃんって奥手でしょ?杉崎君から動かないと」


優華ちゃんが大切だから、臆病になる。

 
下手に手を出して嫌われたらと不安になる。

 
女を落とすのは、お手の物のはずだったはずなのに……。