「昨日、優華ちゃんとファミレスで会ったの。その時、ずっとホッカイロを握り締めててね」


「ホッカイロ……?」


「そう。外に出た時指先が冷えて、優華ちゃんにホッカイロを貸してって頼んだの。そしたら、なんて言ったと思う?」


「いや、全然わかんない」


俺がそう答えると、明菜ちゃんは得意げに鼻を鳴らした。


「『ごめんね。これ、もう温かくないの』って。何で冷たくなったホッカイロなんて持ち歩いてるのか不思議になって聞いたんだ。そしたら……――」


『これ、大切な人にもらったから』


その話に、俺の胸の中にじんわりと温かいものが広がった。