「これ、何だ?」


「動物園のペアチケット。俺いかないから、明菜ちゃんといってくれば?」


「お前なら一緒に行く相手なんて腐るほどいるだろ?」


チケットを返そうとすると、大虎は首を横に振った。


「もう女遊びは卒業することにしたから。で、バイトに専念する」


「へぇ、どういう風の吹き回しだよ」


「一刻も早くあのうちを出たいから金貯めるんだ。それにチビにも色々買ってやりたいし」


「……そっか。なら有り難く貰っとく。ありがとな」


俺は礼を言うと、二枚のチケットを制服のポケットにしまい込んだ。