部屋に入ると、龍心の香水と同じ匂いが鼻をくすぐる。


部屋の中は、ゴチャゴチャと物が溢れているあたしの部屋とは違って、綺麗に整頓されている。


龍心に告白されたのもこの場所だったな……。


ふとそんなことを思い出して、胸の中がポカポカと温かくなる。


「……座れ」


ぼんやりと部屋を見渡していると、龍心の低い声が耳に届き、ビクッと体を震わせた。


そうだった……。


あたし……今朝……、捨て台詞を吐いて龍心から逃げたんだった。


それをようやく思い出して、あたしは龍心に従い、素直に床に腰を下ろした。