「どこ行ってたんだよ」


階段から降りてきたのは龍心だった。


玄関先で靴を脱いでいる途中のあたしを見つけて、眉間にシワを寄せる。



「……明菜……?」


「今ね、明菜ちゃんのおうちに行ってたのよ。それであまりにも明菜ちゃんが可愛いからお持ち帰りしちゃった」


「お持ち帰りって……。何考えてんだよ」


呆れながらそう言うと、龍心は階段を駆け下りて、あたしの手をギュッと掴んだ。



「そんなのほっとけ。上いくぞ」


「ちょっと龍心!そんなのってお母さんのこと!?こら!!聞いてるの!?」


「お、お邪魔します!!」


お母さんは頬をパンパンに膨らませてなにやら文句を言っている。


あたしはそのまま龍心に手を引かれて、階段を登って行った。