それからしばらくして、突然、隣の部屋から物音が聞こえた。


「誰かいんの?」


「……母親がいる」


大虎がそう答えた瞬間、ノックもなしに誰かが部屋の扉を勢いよく開けた。



「……――大虎!あんた、なに拾ってきたの!?」


驚いて扉に視線を移すと、そこには金色の髪を一つに束ねた女が立っていた。


物凄い形相で大虎を睨みつける女。


それが大虎の言っていた『母親』であると気付いて、俺はあ然とした。



「うるせぇな。入ってくんなよ」


「あんた!!猫なんて拾ってきて……!うちを追い出されたらどうすんの!!今すぐ捨ててきなさい!!!」



大虎の母親は俺の存在が全く目に入っていないようだ。


大虎を一方的に怒鳴りつける。