「ほら……」


段ボールの中のタオルの上にちょこんと座り、大虎の帰りを待っていたかのように鳴く子猫。


大虎はすぐさまスポイトを使って、子猫の口に牛乳を運んだ。


「まだうまく飲めないか……。頑張って練習しような」


うまく牛乳を飲み込めない子猫の頭を優しく撫でて、フッと微笑む大虎。


こいつ……こんな顔するんだな。


こんなに優しい表情をしている大虎を見たことがない。


俺は部屋の隅に腰を下ろし、大虎と子猫のやりとりをジッと見つめた。