「俺んち、ここ。汚いけど勘弁してね」


大虎はそう言うと、目の前の古ぼけた二階建のアパートを指差した。



「……あいつ、帰ってきてんのかよ」


階段を上って部屋の前に着くと、大虎の表情からなぜか笑顔が消えた。



「どうした?」


「あぁ、悪い。何でもない」


大虎はハッとしたように首を左右に振ると、制服のポケットから鍵を取り出して、慣れ様子で鍵穴に差し込んだ。