「龍心、こんなところで何してんの?」


振り返るとそこにいたのは不思議そうな顔をした大虎だった。


ったく。何でこうもタイミング悪いんだよ。


「お前こそ何してんだよ」


「俺?牛乳買いに来ただけ」


「……牛乳?何のために?」


大虎の手に握られている紙パックに視線を移しながら、そう尋ねる。


「チビにあげるんだよ」


『チビ』という名前。


その名前に、明菜の台詞がよみがえって。



「ちょっと外出ろよ」


「……分かった」


何かを悟ったのか、大虎は緩んでいた表情を引き締めてレジへ向かった。