忙しいなんて、嘘だった。


部活動をしているわけでも、バイトをしているわけでもない俺は毎日暇している。


これから忙しくなる予定も特にない。


明菜の家庭教師を休もうとした理由。


それは、明菜から距離を置くためだった。


明菜を嫌いになったわけでも、別れたくなったわけでもない。


ただ、大虎との一件で自分が嫉妬深く……、そして弱い人間だと知った。


このまま明菜と一緒にいれば、俺は明菜を縛り付けてしまうだろう。


大虎だけでなく他の男と話しているだけで嫉妬に狂い、明菜を傷付けるのが目に浮かぶようだ。