「……なに?」 「あっ……龍心?」 「あぁ。何か用か?」 「あのさっ、家庭教師を休みたいって……本当?嘘だよね?」 「……勝手でごめんな」 「そんな……でも、何で急に……?」 俺が認めると明菜の声色が変わった。 声もわずかに震えているようだ。 「今ちょっと忙しくてさ。家庭教師やる暇ないんだよ」 「……忙しい……んだ?」 「あぁ」 普段通りの態度で平然と嘘をつける自分がどうしようもなく恨めしい。